なぜ?豆知識

100年コンクリートの証明

明治27年(1894年)に製造されたコンクリートブロック

上記写真のコンクリートブロックは、横浜港築港工事で防波堤基礎用として明治27年に製造して海中に沈設され昭和6年同港改築に際し引き上げられたコンクリートブロックです。

このコンクリートは、アサノ普通ポルトランドセメントを使用したもので、配合(調合)は、セメント:砂(砂利と小割栗石)が1:2.8:5.2(容積比)、水セメント比が40%と推定されます。37年間海中にあっても損傷は認められず、100年経って、なお、健全です。

このことから、コンクリートは、優れた建設素材であることが証明しています。

鉄筋コンクリートとは、

●鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)とは、

鉄筋とコンクリートの各々の長所を組み合わせることで、お互いの短所を補い合う複合材料の一種である。

● 鉄筋コンクリートの成立要件

鉄筋コンクリートの成立要件は、次の通りである。

  1. ①鉄筋とコンクリートの温度に対する動き(線膨張係数)がほぼ同じである。
  2. ②コンクリートが鉄筋の腐食を防止する。
  3. ③鉄筋とコンクリートの付着がよく、一体化する。
材 料 名
性 質(長所、短所)
コンクリート
①圧縮力に対して強く、耐火性に優れる。
②引張力に弱いためひび割れが起きやすい。
③粘りのない壊れ方をする。
鉄 筋
①引張力に対して強く、大きな伸びが期待できる。
②圧縮力で座屈する。また、錆びやすく、耐火性に劣る。
鉄筋コンクリート
①コンクリートと鉄筋の弱点をお互いに補う性質をもつ。

コンクリートのかぶりについて

鉄筋のかぶり厚さ

鉄筋コンクリートのかぶりは、以下に示す鉄筋コンクリートの構造物の性能確保を目的にしている。

  1. ①鉄筋が外からの影響で錆びるのを防止し、耐久性を向上させます(耐久性)。
  2. ②鉄筋が火災などに高温になるのを防ぎ、耐火性を向上させます(耐火性)。
  3. ③鉄筋が圧縮を受けて座屈するのを防止します(構造耐力) 。
  4. ④鉄筋とコンクリートの付着力を確保します(構造耐力) 。

鉄筋のかぶり厚さ:鉄筋表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短距離

コンクリートの中性化

健全なコンクリートは、セメントの水和反応により生成された水酸化カルシウムによってpH12~13の強アルカリ性であるが、アルカリ源である水酸化カルシウムが空気中の炭酸ガスと徐々に反応しアルカリ性を失っていく。これを中性化(炭酸化)という。

コンクリートの中性化深さの測定方法として、中性化深さを測定するコンクリート面に1%フェノールフタレイン溶液を噴霧し、赤色化の有無により測定する方法がある。

鉄筋の腐食について

  • コンクリート中の鉄筋の腐食は、コンクリートの中性化部またはある程度以上の塩化物が含有されたコンクリート部で、酸素と水分が供給された場合に起こる。腐食は、水または酸素の両方が存在しないと起こらない。
  • 自然界では、金や銀のように金属のままで産出するものもあるが、鉄筋などの普通に実用化されている多くの金属は、酸化物または硫化物などの鉱石の形で存在しているものを製錬(還元)してつくられたものである。これらは、熱力学的に不安定な状態にあることから、ある環境下においては、酸化して元の安定な酸化物の状態に落ち着こうとする傾向をもっている。
  • ここでは、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を低下させる原因のうち、最も重大な鉄筋腐食について記載する。

コンクリートの中性化による鉄筋の腐食

健全なコンクリート中の鉄筋は、高アルカリ性(pH12~13)下で鉄筋表面に緻密な不働態被膜を形成し、錆の進行が防がれている。

しかし、コンクリートは、空気中の炭酸ガスの作用を受けて、コンクリート中のセメントの水和によって生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が徐々に炭酸カルシウムになり、表面より次第にアルカリ性を失っていく。これを中性化(炭酸化)という。

Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O

中性化が鉄筋の周囲を囲んでいるコンクリートまで到達すると、錆の進行を防いでいた不働態被膜が破壊され、水と酸素が浸透してくると鉄筋は腐食する。鉄筋が腐食するとその体積が増し(約2.5倍)、その膨張圧でかぶりコンクリートにひびわれが生じ、かぶりコンクリートの剥離・剥落へと進行し、耐久性は急速に低下する。

(鉄筋の腐食過程参照)

コンクリート中の塩化物による鉄筋腐食(塩害)

塩化物イオン(Cl-)が、海砂の使用(先天的)や塩分の外部からの浸透(後天的)などによりコンクリート中に一定量以上存在すると、コンクリートが中性化していなくとも、不働態被膜が部分的に破壊されて、酸素および水分の浸入によって鉄筋が腐食し、その体積が増し、その膨張圧でかぶりコンクリートにひび割れが生じる(鉄筋の腐食過程参照)。

なお、このことから、コンクリート打込み時のコンクリート中の塩化物イオン量が規制されている。

鉄筋の腐食過程

図 鉄筋の腐食過程

鉄筋の腐食は、次の条件下で生じます。

  • (a)コンクリートの中性化+酸素と水分の存在
  • (b)コンクリート中への塩化物の侵入+酸素と水分の存在

鉄筋が腐食すると膨張し、腐食膨張圧によって、かぶりコンクリートにひび割れが発生します。

発生したひびわれから酸素、水、二酸化炭素または塩化物イオンが浸入し、鉄筋腐食を助長させ、かぶりコンクリートの剥離、剥落に至ります。

鉄筋コンクリートの応力の負担は、基本的にはコンクリートが圧縮応力を、鉄筋が引張り応力を受けもつが、鉄筋の腐食が進行すると鉄筋断面積が小さくなり、受けもつべき荷重を負担できなくなります。

リフリート工法(RF仕様)は、中性化したコンクリート表面にアルカリ性付与材(RF-100)を塗布し、RF防錆ペーストを塗り付けることによって、コンクリートをアルカリ環境にすることによって、中性化の進行を抑制します。

リフリート工法(DS-HG仕様)は、コンクリート表面にDS-400の塗布およびDS防錆ペーストの塗り付けによって、コンクリート中に防錆成分が徐々に浸透し、腐食によって破壊された鉄筋の不働態被膜を再生することによって鉄筋の腐食を抑制します。